病気のはなし

感染症

おたふくかぜ(ムンプス)

「おたふく」とは、顔立ちが丸く額が前方に出ていて、頬が膨れた鼻の低い女の人の顔のことを言います。おたふくかぜは耳の下(耳下腺)が腫れて「おたふく」に似た顔つきになることからこの名前がついています。正確には耳下腺と顎下腺(あごの下)も腫れます。よく首のリンパ節の腫れを、おたふくかぜと心配して受診される場合がありますが、おたふくかぜの場合は顔の輪郭が変わるように耳のすぐ下が腫れるのが特徴です。

原因はムンプスウイルスで、ウイルス感染後2〜3週間ほどで、耳下腺・顎下腺の腫れ・痛みが起こり、発熱を伴うこともあります。耳下腺の腫れは1〜2週間続き、片方で終わる場合と両方腫れる場合があります。好発年齢は3〜6歳です。(国立感染症研究所のデータを参照)

合併症としては髄膜炎が有名で、症状は頭痛・嘔吐・発熱です。おたふくかぜを発症した患者の1〜2%程度は髄膜炎で入院します。その他に、精巣炎(思春期以降の男性)や稀ですが難聴・脳炎を合併することもあり注意が必要です。(難聴はムンプス患者の1000人に1人の発症率です。)

ムンプスウイルスを直接やっつける薬はなく、痛み止めを使用したり、痛みで水分が摂れない場合は点滴を行うなど症状に対する治療を行います。

自然に治るのを待つしかないおたふくかぜですが、ワクチンは発症予防に有効です。海外のデータでは1回接種の有効率は66%です。日本でも近年2回接種が推奨されており、この場合の有効率は86%と高くなります。1歳になったら1回目を接種、3〜6歳で2回目を接種します。また、脳炎や難聴などの重篤な後遺症の予防にも有効であり、ぜひ受けていただきたいワクチンです。また、早期に定期接種となることが望まれます。(先進国で任意接種であるのは日本のみ。)

おたふくかぜになった場合の保育園・幼稚園・学校の出席停止期間ですが、従来は耳下腺の腫れがひくまででしたが、平成24年からは「耳下腺、顎下腺、舌下腺の腫脹発現後5日を経過し、かつ全身状態が良好になるまで」に変更になりました。この期間を過ぎて全身状態が良ければ、登園・登校が可能です。

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