病気のはなし

感染症

ウイルス性胃腸炎

寒さが増してくる11月頃から、外来ではウイルス性胃腸炎の患者さんが増えてきます。細菌性腸炎の多くが食べ物から感染するのとは異なり、ウイルス性胃腸炎では感染の多くは人から人です。代表的なものはノロウイルスやロタウイルスで、その他にも数種類のウイルスが原因となります。

ウイルスに感染すると通常1~2日で吐き気・嘔吐・下痢などの胃腸炎症状が起こります。少量の水分を摂っても吐いてしまう場合は、2~3時間ほど水分の摂取を控え、一旦胃を休めてから、再度一口ずつ10分おきくらいに、水分(糖分・塩分を含んだもの)を摂取させてみてください。通常、症状が出て1~2日で嘔吐は落ち着き回復に向かいますが、ひどい嘔吐で脱水や低血糖などの症状がみられるときは、点滴治療が必要な場合もあります。下痢症状は嘔吐より長引き、1〜2週間程度続く場合もあります。下痢が落ち着くまでは、冷たいもの・油もの・乳製品の摂取は控えましょう。ウイルスを直接やっつける薬はありません。(ロタウイルスについては乳児のみが接種できる重症化を防ぐワクチンがあります。)自宅でお子さんを看ていて、「顔色が悪いのが持続する」「横になったままぐったりしてあまり動かない」「おしっこの回数が減ってくる」などの症状があれば小児科を受診してください。

吐いた物や便の中にウイルスが含まれており、接触による感染と吐物などからウイルスがエアロゾル状に飛散しそれを吸い込むことによる空気感染も言われており、例えば学校や保育園などで一人が嘔吐すれば一気に感染が拡大することがあります。また家族内でも親御さんを含めて感染が拡がる場合が多いです。下痢便や吐物の処理にはマスク・手袋を着用の上、雑巾などで拭いた後、家庭用漂白剤(ハイターなど)で消毒します。衣類も一旦消毒した後に洗ってください。(拭き取りに使った雑巾はできればビニール袋に入れて捨てるようにしてください)

登園・登校は、嘔吐・吐き気が落ち着いて、食欲が普段の半分くらいまでは回復する、下痢が止まって普通便が出る、のを目安に医師と相談して決めてください。

戻る

ページの先頭へ