気になる症状
長引く咳
小児科の外来を受診する理由で一番多いのは発熱でしょうが、咳が何週間も続くという訴えで受診される患者さんも比較的多いものです。今回は「長引く咳」に焦点をあててみます。
咳の原因は様々ですが、風邪ひきに伴うものがもちろん最多です。これらの多くは1〜2週間の経過で治りますので、長引く咳というのは2〜4週間以上続くものと考えて良さそうです。その原因は様々ですが、①感染症②アレルギー③その他、に分類されます。
まず①の感染症ですが、長く咳が続く感染症として、マイコプラズマや肺炎クラミジア・百日咳などがあげられます。マイコプラズマや肺炎クラミジアは、気管支炎や肺炎を起こすことが多く、これらの病気を疑うときは胸のレントゲン写真・抗原・抗体検査や臨床症状から診断します。百日咳は4種混合ワクチンを接種していない赤ちゃんでは、特徴的な咳が出るので診断は比較的容易ですが、ワクチン接種歴があるものの、ワクチンの効果が切れてしまって発症する年長児から成人の患者さんでは診断が難しい場合があります。
②アレルギーの咳は、いわゆる気管支喘息と喘鳴を伴わない咳喘息(せきぜんそく)が有名です。喘鳴(胸がヒューヒュー・ゼーゼーする)があれば喘息の診断は比較的容易ですが、喘鳴がなく夜間や体動時に咳嗽がひどく出る咳喘息は診断がやや難しい場合があります。
③では小児で多いのは副鼻腔炎(蓄膿)で、顔の骨の隙間(副鼻腔)から出る膿性の分泌物がのどを刺激して慢性の咳がでます。もともと鼻炎があるお子さんが罹りやすく、顔のレントゲン写真を撮ることで診断ができます。その他には胃食道逆流症(GERD)・心因性(精神的なもの)や、保育所や幼稚園に通いだして感冒を繰り返すために結果として咳が長引くこともあります。
「長引く咳」に対する治療は、その原因により患者さんそれぞれに異なりますので、正しい診断のもとに治療を始めることが重要です。