病気のはなし

感染症

RSウイルス感染症

RSウイルスは乳幼児に細気管支炎・気管支炎・肺炎を起こすウイルスとして重要です。このウイルスには1歳までに70%、2歳までに90%の子供が感染します。そのうち約40%が下気道(気管支や肺に)感染を起こします。症状が悪化し入院になってしまうのは全体の1%くらいです。

流行は例年、秋から春にかけてで、11月頃から始まり、12月がピークとなり3月頃には減ってくるパターンが多いです。しかし今年(2016年)は夏期から流行が始まっており、少し流行パターンが異なっています。

潜伏期は4〜5日で、咳・鼻水・発熱などの症状が始まりウイルスが気管支や肺に到達すると、喘鳴(ヒューヒュー、ゼロゼロ)を起こし喘息発作の様な状態になります。この時に、気管支炎や肺炎を起こしてくることもあります。また、生後1か月くらいまでの赤ちゃんはRSウイルス感染症により、無呼吸が起こることがあり注意が必要です。徐々に病気の症状が悪化して無呼吸を起こすこともありますが、乳児の突然死の原因の一つとしてRSウイルスが言われており、無呼吸が最初の症状となることもあります。RSウイルス感染症は新生児や未熟児で産まれたお子さん・心臓や肺に持病のあるお子さんは重症になりやすいので特に注意が必要です。これらのRSウイルス感染症に対してハイリスクのお子さんに関しては、症状が悪化してきたら早めに入院を考えることが重要です。

中耳炎も合併症として多くみられ、以前私が勤務していた病院で、RSウイルスに罹患して入院した163人のお子さんを調べたデータでは58.9%のお子さんに中耳炎を認め、発熱も中耳炎がないお子さんと比較して2日程度長くなっていました。RSウイルス感染症のお子さんでは、中耳炎がないかを耳鏡で調べることは必須と言えそうです。

診断は検査キットを使い、お子さんの鼻水でRSウイルス感染の有無をクリニック内で短時間で調べることができます。(ただし、クリニックの外来では0歳児しか保険適応がありません。)

治療は一般的な風邪としての治療に加えて、喘鳴がある場合はオノンやホクナリン(ツロブテロール)テープなど喘鳴を抑えるお薬を使います。小児科外来では気管支を拡げる吸入を行うことが多いです。喘鳴がひどく呼吸困難を起こしている場合や肺炎の併発など状態が悪い場合は入院が必要となります。

喘鳴で息苦しそう、咳で眠れない、水分が摂れない、顔色が悪い、ぐったりする、などの症状があるときは早めに小児科クリニックを受診してください。

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