病気のはなし

感染症

百日咳

百日咳は特に小さい赤ちゃんが罹ると重症化することがある感染症で、百日咳菌が原因です。

潜伏期は5~21(多くは7~10)日で、症状は3つの期間にわけることができ、それぞれ約2週間持続します。①カタル期:鼻水・くしゃみ・咳・涙目などを認めます。②痙咳(けいがい)期:速くて頻回の咳を繰り返し(スタッカート)、咳の終わりには特徴的な高音を伴った長い息の吸い込みを認めます(笛声:whoop(フープ))。一連の咳発作(レプリーゼ)は夜間に強く、咳込みによる嘔吐、チアノーゼ、顔面潮紅(顔が赤くなる)、眼の腫れを認めます。乳児期早期では特徴的な咳がなく、単に息を止めているような無呼吸発作からチアノーゼ、けいれん、呼吸停止と進展することがあります。③回復期:咳は発作的ではなくなり、回数も減りますが場合によっては数ヶ月間続くことがあります。生後6ヶ月未満の乳児では入院が必要なことが多く、生後2ヶ月未満の児では重症化し命に関わる場合があり注意が必要です。

診断は特徴的な症状から百日咳を疑い、血液検査で百日咳の抗体を測定したり、培養検査で百日咳菌が発育するかをみたりします。また、血液の中のリンパ球という種類の白血球の数が増えることも診断の参考になります。

治療は百日咳菌に効果があるマクロライド系の抗生剤(エリスロマイシン・クラリスロマイシンなど)を使用しますが、発症後時間が経ってしまうと効果が弱く、早期診断・早期治療が重要です。入院治療ではガンマグロブリン(感染症に対する抗体が含まれる治療薬)を使用する場合もあります。

百日咳はワクチンで予防できる感染症です。四種混合ワクチンに百日咳に対するワクチン成分が含まれており、生後3ヶ月からワクチン接種が可能です。生後3ヶ月になったら、速やかにワクチン接種を開始しましょう。

ワクチン接種済みの人が後に百日咳に罹った場合は、未接種者ほどはひどくはありませんが咳が長期に持続することが多く、喘息などと誤って診断されることがあり注意が必要です。また、未治療の成人百日咳患者さんが感染源となり小さいお子さんに百日咳を感染させることが問題となっています。特に小さいお子さんがいる家庭では、「咳だけだから」と放置せず、親御さんも医療機関に受診することが重要です。

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