感染症
マイコプラズマ感染症
年長児から大人に肺炎や気管支炎をおこす、マイコプラズマ感染症についてとりあげます。
マイコプラズマは飛沫感染(咳や喋ったときなどに出る唾液などの飛沫)で拡がり、感染すると2~4週間の潜伏期の後、咳や発熱の症状が出てきます。(熱型(熱の出方)は典型的には朝は比較的低く、夜になると熱が上がるというパターンです。)咳が次第に増え、熱が数日しても下がらないので病院を受診すると、胸のレントゲン検査で肺炎を指摘される、というのが典型的な経過です。同時に行う血液検査では正常に近いものから炎症反応(CRPなど)が非常に高くなるものまで様々です。
診断は血液検査でマイコプラズマ抗体を測定し抗体の上昇で診断する方法、喉の奥を拭ったものを遺伝子診断する方法(LAMP法)、喉の奥を拭ったものを検査キットで迅速検査する方法などがあります。(ただし典型的な経過をたどる患者さんは、これらの検査を行わなくても高い確率で診断することが可能です。)
治療は抗生剤を使います。エリスロマイシン・クラリスロマイシンなどのマクロライド系という抗生剤が有効で、まず最初に使うお薬です。経過によって5~14日間ほど服用します。最近、これらの抗生剤が効かないタイプのマイコプラズマもしばしばみられ、その場合はミノマイシンなどテトラサイクリン系の抗生剤やオゼックスというニューキノロン系の抗生剤を使用することがあります。発熱が長引く、咳がとても多い、水分が摂れないなど全身状態が悪い場合は入院での治療が必要になることがあります。
ちなみに年少児がマイコプラズマに感染すると、喘鳴(ゼロゼロ)を伴って、ウイルス性感冒と区別するのが難しい場合が多いです。
マイコプラズマは流行周期があり、以前はオリンピックの年に流行しやすいとされていました。ここ最近は、明確な流行周期はなくなってきていると言われていますが、それでもオリンピックの年である今年(2016年)は患者さんが多い印象です。