病気のはなし

感染症

麻疹(はしか)

麻疹(はしか)は以前は国内での流行が認められていましたが、ワクチンの普及により2015年3月にWHOにより「排除状態にある」ことが認定されました。しかし、感受性者(麻疹抗体を持たない人)がいるため、2016年の様に海外からの麻疹の持ち込み例による小流行が認められています。

麻疹ウイルスに罹患すると10〜12日の潜伏期の後、発熱・鼻水・咳・眼球結膜の充血・全身倦怠感などの症状を3〜4日間認め、一旦解熱傾向になるものの、その後再び高熱となり直径数mmの赤い発疹が顔・首から全身に拡がります。発疹は後に癒合し、色素沈着を残しながら徐々に消失、7〜10日間ほどで解熱し回復へと向かいます。病初期に頬粘膜(頬の裏側の口腔粘膜)にコプリック斑と呼ばれる白い斑点を認め、麻疹に特徴的です。麻疹は乳幼児や成人で重症化することがあり、500〜1000人に1人の割合で亡くなることがある侮ることが出来ない感染症です。過去のデータでは罹患時の入院率が約40%と高く、非常に全身状態が悪化します。また、重症化して肺炎や脳炎を合併することもあります。

発症した麻疹には有効な治療法はなく、予防接種が唯一発症を防ぐ方法です。風疹ワクチンとの混合ワクチンであるMRワクチンを接種します。従来は1回接種でしたが、2006年よりワクチンの効果を高めるために2回接種となっており、1歳台と小学校入学前の1年間の2回接種することが重要です。

ワクチンは接種した人の個人防衛の側面と、ワクチン接種率を上げることによる流行予防の2つの側面があります。麻疹はワクチン対象年齢ではない0歳児で死亡例が多く、全体での接種率を上げることにより、これらのお子さんへの感染を防ぐことが大切です。

1歳になったら早期に1回目のMRワクチン接種、年長さんになったら忘れずに2回目の接種を受けてください。

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