病気のはなし

アレルギー

ピーナッツおよびナッツアレルギー

ピーナッツおよびナッツアレルギーはアナフィラキシーを起こしやすいアレルゲンとして重要です。ピーナッツはマメ科ラッカセイ属で生物学的にはナッツ(木の実:種実類)とは別物ですが、今回は慣例的に同時に紹介します。

現在、保険診療で検査が可能なのはピーナッツとナッツ類はクルミ・アーモンド・ハシバミ(ヘーゼルナッツ)・カカオ・カシューナッツ・ブラジルナッツ・ココナッツです。ナッツアレルギーの患者さんで全てのナッツが食べられない方は少なく、特定のナッツにアレルギー症状が出る場合が多いですが、共にウルシ科のカシューナッツとピスタチオと共にクルミ科のクルミとペカンナッツはそれぞれ同じ患者さんで症状が出ることが多いとされています。

日本人ではピーナッツおよびナッツアレルギーの罹患率は高くありませんが、微量でもアナフィラキシーなどの強いアレルギー症状を起こしやすいアレルゲンであるため注意が必要です。過去の報告ではショック症状を起こした食物の中でピーナッツは卵・牛乳・小麦につぐ第4位で6.4%を占めました。またカシューナッツ・クルミ・アーモンドもそれぞれ0.7%ずつの頻度でした。ピーナッツおよびナッツアレルギーの患者数が少ないことを考えると、重篤な症状を起こしやすいと言えます。

そのままの形態で食べる場合は避けることが容易ですが、お菓子などに含まれていることがありこれが誤食の原因となります。食品の特定原材料として表示義務があるのは落花生(ピーナッツ)のみ、表示推奨品目を含めてもアーモンド・カシューナッツ・クルミの3種までで、全てのナッツに表示義務があるわけではありません。また、ナッツ缶を食べて症状が出た場合などはどのナッツが原因か問診からは特定することが難しいため複数の項目のナッツ類の血液検査を行い原因を同定していきます。ピーナッツ・クルミ・ヘーゼルナッツではそれぞれAra h 2・Jug r 1・Ana o 3のアレルゲンコンポーネントの測定も可能で、これらを利用することにより診断精度をあげることができます。

ピーナッツ・ナッツアレルギーは卵や牛乳・小麦などのアレルギーと比べて自然寛解・減感作は共に難しいとされています。治療の基本は除去となりますが、小児では成人と比較して自然寛解率がやや高いこと、また成人を含めて血液検査の偽陽性(食べても症状が出ないが血液検査では陽性となる)が多いことから、ピーナッツ・ナッツアレルギーの特性を考慮しながら対応していくことが大切です。

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