感染症
細菌性腸炎
日中の気温も上昇し、夏の近さを実感する季節となる6月頃から増えてくるのが細菌性腸炎による食中毒です。耳原総合病院小児科に入院した患者さんをまとめたデータでも、6~9月に細菌性腸炎で入院するお子さんが増えていました。
胃腸炎の原因はウイルス性(ノロウイルスやロタウイルスなど)と細菌性にわかれますが、人から人への感染が主体のウイルス性胃腸炎と異なり、細菌性の腸炎は食べ物から感染することが多いという特徴があります。サルモネラ・カンピロバクター・病原性大腸菌が主な原因菌です。これらの菌で汚染された食品(多くは火の通りの悪い肉や卵)などを食べて数日後に腹痛・下痢・発熱などの症状が出ます。細菌性腸炎の場合、下痢は血便となることもあります。(ウイルス性の場合は血便が出ることはほとんどありません。)ウイルス性胃腸炎で多い吐き気や嘔吐の症状は、無いかあっても軽いことが多いです。また、細菌性腸炎ではウイルス性腸炎と比較して発熱が長引く傾向があります。下痢便を培養検査することで、細菌性腸炎かどうかを判断することが可能です。
治療は整腸剤と消化の良い食事を摂って様子を見ることが基本ですが、脱水が強い場合は点滴をして水分や塩分・糖分を補ったり、重症化した時は入院での治療が必要となることもあります。抗生剤は症状が重い場合は使用することがありますが、基本的には使用しなくても良くなることが多いです。
細菌性腸炎の予防は病原菌を体の中に取り込まないことです。生の肉や卵は菌に汚染されているものと考え、肉や卵の生食を避けることはもちろんですが、焼き肉や焼き鳥などを食べるときは、しっかり中まで火を通してから食べることが何よりも大切です。子供は免疫力が弱いので、大人が食べて大丈夫なものでも症状が出ることが多いです。楽しい食事が原因で後から大変なことにならないよう、これらのルールは必ず守るようにしましょう。