病気のはなし

アレルギー

アレルゲンコンポーネント

食物アレルギーや花粉症などのアレルギー疾患を疑った時に、その原因を調べるため採取した血液でアレルギー検査を行います。血液検査でアレルギーに関与するIgE抗体を調べる方法は数種類ありますが、当クリニックではCAP法での検査を行っています。(他にアラスタット・MASTなどの測定方法がありますが、CAP法を含めてそれぞれの検査の数値を単純比較できないので、複数の医療機関でアレルギー検査を行った場合は、どのような測定方法で調べたものかにも注意することが必要です。)

血液検査でIgE抗体を測定する時に、これまでは粗抗原(アレルギーの原因になるものとならないものの両方が含まれる蛋白質)に対するIgE抗体を測定してきました。(例えば、卵アレルギーについては「卵白」・「卵黄」、牛乳アレルギーに対しては「牛乳」、小麦アレルギーについては「小麦」の検査項目があります。)これらの検査は、実際はアレルギー症状が出なくても検査上陽性となることがあり、診断精度の点で問題がある場合があります。それに対してコンポーネント検査は、対象の蛋白質からアレルギー症状を起こす原因となりやすい蛋白質(アレルゲンコンポーネント)を特定し、それに対するIgE抗体を測定します。現在よく利用されているのは、卵アレルギーの「オボムコイド」、牛乳アレルギーの「カゼイン」、小麦アレルギーの「ω(オメガ)−5グリアジン」、ピーナッツアレルギーの「Ara h 2」などです。これらの検査を粗抗原に対する従来のIgE抗体測定と組み合わせることで、診断の精度を上げることができます。また、大豆アレルギーにおけるコンポーネント検査である、「Gly m 4」は、ハンノキやシラカバ花粉に感作されたために発症する大豆アレルギー(主に豆乳で口腔アレルギー症状が出現)で陽性となり、大豆アレルギーの発症原因の検索に有用です。

日常診療でこれらのアレルゲンコンポーネント検査を行うことで、アレルギー診療の質を上げ、食物アレルギーにおいても食物経口負荷試験を行うか、除去を継続するか、などの判断材料にすることが可能です。研究ではアレルギー診療に有用なアレルゲンコンポーネント検査項目が続々開発されており、今後も保険診療で行えるアレルゲンコンポーネント検査が増えていくことを願います。

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