新生児・乳児消化管アレルギー

新生児・乳児消化管アレルギーは、新生児や乳児期に発症し、嘔吐や下痢などの消化管症状を呈するものです。これまでは育児用ミルクでの報告が多かったのですが、最近は卵（卵黄）・大豆などミルク以外での症例が増えており、アレルギー学会での報告も増えており注目されています。

このアレルギーは従来の食物アレルギーと異なり、特異的IgE抗体を介さないのが特徴で、血液のアレルギー検査では当該食物の特異的IgE抗体の上昇を認めないことが多いです。また原因食物摂取後、症状出現までに1−4時間程度かかることが多く、これも従来の即時型食物アレルギーと大きく異なります。また、従来の食物アレルギーでは卵アレルギーは卵黄より卵白でアレルギー症状を起こしますが、新生児・乳児消化管アレルギーによる卵アレルギーは卵黄で症状が出現します。

診断は詳細な病歴の聴取が最も重要です。新生児・乳児期に発症し同じ食物・時間経過で消化器症状を繰り返している場合は、新生児・乳児消化管アレルギーの可能性が非常に高くなります。

症状が出なくなる年齢は原因食物により異なり、牛乳(ミルク)・大豆は比較的早く、卵黄は時間がかることが多いとされています。

新生児・乳児消化管アレルギーは消化管症状のみであること、摂取後発症までに時間がかかること、またアレルギー検査で陽性にならないことからアレルギー疾患として正しく診断されないことがあり注意が必要です。