アレルギー
アレルギーの血液検査について
血液の中の抗原特異的IgE抗体価を調べることにより、患者さんが特定のアレルゲン(アレルギーの原因になる物質)に対して感作(アレルギー症状を起こす準備状態になっている)があるかを調べる検査です。またその測定値の値により感作の強さを測定することができます。注意点としては、あくまでも感作を調べる検査であり、陽性である場合に必ずアレルギー症状が出現するわけではありません。あくまでも臨床症状と照らし合わせて、実際に患者さんのアレルギーの原因となっているかを判断することが重要です。また食物アレルギーの場合は同じ数値であっても年齢により症状の出現率が変わってくるため、年齢を考慮した判断が必要です。
IgE抗体価の測定には複数の方法があります。当院で行っている検査はCAP法です。この検査方法は歴史のある検査方法で、多くの医学論文や学会発表で利用されていること、主要食物アレルゲンに対してプロバビリティーカーブ(測定値によるアレルギー症状出現率のグラフ)が利用できること、アレルゲンコンポーネントで利用できる項目が他の測定方法と比較して多い、などの利点があります。
また最近、36種や39種などの多数の抗原に対する特異的IgE抗体価を測定する検査も行えるようになってきています。少量の血液で多数の抗原に対する検査が行える利点がありますが、食物抗原で偽陽性(実際はアレルギー症状が出ないのに検査で陽性に出ること)が多く、他院でアレルギー性鼻炎の原因を調べるためにこれらの検査をしてもらったところ今まで普通に食べている食物の項目がいくつも陽性に出たために心配になり当院を受診される、といった事例が起きています。これらの検査の利点は理解しつつも、検査をする必要のない項目が多く含まれているために混乱を招くことがあることは問題では、と私個人としては考えています。