金曜日からクリニックの方はお休みをさせて頂いて、幕張メッセで行われている日本アレルギー学会学術大会に参加しています。

 

1日目は症例報告として大根の辛み成分のアレルギー(アリルイソシアネート:マスタード・ワサビにも含まれる)、桃・梅・梨などに含まれ近年同定されたGRPについて、また魚卵アレルギーでもタラコのみに症状を呈する症例についての原因蛋白の同定。別のセッションでは魚アレルギーで特に発症が多いアカウオについての発表、またクラゲ刺傷の機会が多いサーファーで発症がみられる納豆アレルギーなど、レアケースであるが為に情報が少なく日常診療で難渋する症例の発表が聞けて有意義でした。

本日は食物アレルギーの経口免疫療法についてのセッションに重点的に参加しました。各施設共に安全性に問題のある重症患者での急速経口免疫療法(ROIT)をやめて緩徐経口免疫療法(SOIT)や少量導入経口免疫療法(LOIT)にシフトしていることが明らかになりました。少し前までは各施設が競ってROITを行っていましたが、相模原病院の海老澤先生が「「10年前には食べたら食物アレルギーは治る」という流れがあったが、今はとてもそんな単純な事は言えない。」と言われていたのが印象的でした。ただ小児アレルギー学会が知見が変わってきていることを世間一般に意識して発信していかないと、小児科医や患者さん自身も「食べたら治る」と信じ切っているところがあるので、問題のある流れがまだしばらく続きそうで心配しております。当クリニックでもより安全性を重視して食物の解除を進めて参りたいと思います。

学会は明日まで続きます。「夢と魔法の王国」のほとりでもう少し知識を深めて参ります。

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